ランニングの練習方法をサクッと把握しよう:ランニング初心者から上級者までやることは基本的に同じ

ランニングの練習方法を一覧にまとめて紹介します。

「この練習方法はなに?」

ランニングを始めた時に、ネットやツイッターで情報を集めていると内容のわからない練習方法が出てきますよね。レペティションやファルトレクなど、ランニング初心者さんにはどんな練習をしているか想像もつかないような名前を見かけることがあります。

そんな人のためにランニングの練習方法を一覧にまとめました。

ランニングの練習方法というのは、初心者も上級者もトップ選手も基本的には同じです。いろいろ、基本の練習方法にバリエーションを加えて様々な方法で飽きないように脚力やスタミナなどを鍛えています。ですので、速い人は特別な練習方法を知っているということではありませんのでご安心ください。

ランニング初心者の人には練習名と内容の把握に、中級者以上の人なら日々の練習計画を立てるのに参考にしてください。

ただ、ここでは基本の練習方法しか載せていません。ここから派生するバリエーションや、ローカルでの練習方法の呼び名などはわからないので、その辺はご容赦ください。

ウォーキング

ただ「歩く」こと。

まだ走ることに身体が慣れていないダイエット目的の人やランニング初心者の人にとっては重要なトレーニング。

初心者ランナーはジョギングで腰や膝を痛める確率が高いので、「走る」より前に「歩く」ことを意識しましょう。20~30分を歩けるなら同じ距離で少しずつジョギングを取り入れていくと故障の確立を減らせます。

・練習の目的

走ることに向けた身体の動かし方の基礎固め

・注意点

ただダラダラ歩くのではなく、体全体の動きや足の運びなどを意識しないと意味がない。

消費カロリーは低いので、ダイエット目的ならウォーキングの効率は悪い。

ジョギング(ジョグ)

息が上がらず、自分が気持ちいいというペースで走ること。

初心者からトップレベルのランナーにとって基礎であり一番重要なトレーニング。

ペースはレベルにもよるが、初心者ならだいたい20~60分を6~7分/km(1時間で10km~8.5km)前後のスピードで走る。

同じ距離ならウォーキングよりカロリー消費は多いのでダイエット目的ならジョギングのほうが効率は良い。

・練習の目的

脚作りや心肺機能の向上。

フォームの見直し。

練習の始めは身体を動かす準備運動として、練習の終わりは緊張した筋肉をほぐす運動としてジョグを取り入れると故障の確立が減ります。

血液循環が良くなるので、疲れが溜まっているときは短いジョギングをすることで疲労抜きの役目も果たす。

・注意点

ウォーキングと同じく、フォームや脚の運び方を意識しないとあまり意味がない。

初心者なら最初はジョギングだけでランレベルが上がっていくが、無理をしすぎると故障につながるので注意する。

ウインドスプリント

運動中の身体への刺激を入れるための方法の一つ。

100mくらいまでの短い距離を自分が気持ちよく走れる速いペース(ダッシュの80%くらいのスピード)で行う。いきなり80%でなく徐々に上げていってもいい。

・練習の目的

動きが小さくならないように刺激を入れる。

スライドを大きく動かし、スピードの出し方とスピード感を養う。

・注意点

身体への刺激を入れるのが目的なので、全力で長い距離では行わないこと。

練習初めでいきなりウインドスプリントをすると逆に筋肉を傷めるので、ジョグなどで身体が暖まって脚が動くようになってから行う。

距離走

10km以上の距離をペースは気にせず走ること。

長い距離を走り切る脚作りのために行うので、距離は目的にあった長さを選ぶ。

フルマラソンで起こる30kmの壁を超えるために30km走をしましょうとよく言われるが、30km走が原因で30kmの壁が起こっているのではないかと考えている。

・練習の目的

スタミナ強化と長距離を走りきるための耐性をつける。

・注意点

ムリして長距離を走らないこと。

長距離を走る脚ができていないと故障に繋がりやすい。

途中でエネルギー不足にならないよう、ゼリーや水分を携帯して補給する。

熱中症で倒れるとお金も時間も無駄にするだけなので、夏場は走る時間帯や気温に注意する。

LSD(Long Slow Distance)

ゆっくりとしたスピードで(体感的にはジョグよりもゆっくり)、90~180分ほど走るトレーニング方法。

ゆっくり長時間走ることで遅筋が鍛えられミトコンドリアが増えることで、距離耐性とスタミナ強化を図ることができる(と言われるが、これを確認した文献はまだ見つけれていない)。

・練習の目的

スタミナ強化と長距離を走りきるための耐性をつける。

・注意点

接地回数が増えるので、接地やフォームを意識する。

途中でエネルギー不足にならないよう、ゼリーや水分を携帯して補給する。

熱中症で倒れるとお金も時間も無駄にするだけなので、夏場は走る時間帯や気温に注意する。

ペース走

ペースを決めて設定した距離を走り切るトレーニング方法。

大会で目標タイムをクリアするためには重要な練習になる。たとえば、フルマラソンでサブ4を目指すランナーが6分/kmで走ったとしたら絶対にサブ4は達成できない。サブ4を達成するためには5分41秒/km以上のスピードで走らないと4時間は切れないからです。

・練習の目的

目標タイムをクリアするためのペース感覚を養う。

・注意点

いきなり高すぎる目標設定をせずに、自分の走力を考えクリアできそうな少し高めの目標を設定する。

目標が達成できたら、さらに少し高い目標を設定する。

目標がキツイと感じたらいったん少し低い目標に切り替えるか、設定はそのままでクリアできるまで練習を重ねる。

閾値走(LT走/T走/テンポ走)

運動時に筋肉で発生する乳酸への耐性を高めるトレーニング。

速く走り続けるためには重要な練習方法の一つ。

運動時には筋肉中のグリコーゲンが消費されエネルギーに変換されます。その過程で乳酸が発生します。

運動強度を上げていくとある一定のところで血中乳酸濃度が急激に上昇し始める強度があります。この上昇し始めるポイントをLT (Lactate Threshold、乳酸性閾値) と呼びます。

これは血中の乳酸を処理する能力が乳酸の発生に追い付いていないからです。これにより血中のpHが酸性に傾き疲労につながると考えられています。

・練習の目的

乳酸の処理能力を上げてLTを高くすることで、より速いペースで長く走れる身体が作られる。

・注意点

20分間をややキツイと感じるペースで走りきる。

20分間走れないような速いペースではLTを上げられないので、ペースに注意する。

インターバル走

速いスピードと緩いスピードを交互に繰り返すトレーニング。

緩急をつけることで心肺機能や最大酸素摂取量を向上させます。

距離については、1kmを速いスピードで走り、200mを緩いスピードの1セットを8~10セットで走るのが基本的な練習方法でしょう。

走力や目標に合わせていろいろなパターンで練習を組めます(練習としてはキツイですが)。

・練習の目的

心肺機能の向上とスピードアップ

・注意点

インターバル走は身体への負担が大きいので、週に1回か2回くらいがよいでしょう。

また、速いスピードに脚が慣れていないなら、硬い路面よりトラックなど柔らかめの地面のほうが脚への負担は少なくできるので利用できるなら利用しましょう。

レペティション

速いスピードと十分な休息とを交互に繰り返すトレーニング。

インターバルとの違いは、速いスピード間のつなぎを走らず、代わりに十分な休息をとること。休息と言っても、止まったり座り込んだりせず、ウォーキングや動的ストレッチで筋肉を軽く動かし疲労物質をためないようにしましょう。十分休んで走るので、インターバルよりも速いスピードで走ります。

走る距離は1~3km程度。

・練習の目的

心肺機能の向上とスピードアップ

・注意点

心拍数の上下が大きいので体への負担も大きくなります。練習頻度は1~2回/週くらいがよいでしょう。

練習前後にはアップとクールダウンを必ず取り入れないと、故障しやすくなります。

ビルドアップ走

走る距離を分割し、ペースを段階的に上げていくトレーニング。

フルマラソンなどで後半でもスピードを落とさないように、粘りの走りができる脚と精神力を作ります。

トップ選手の走りを見ていると、後半にスピードアップするネガティブスプリットで走る人が多い印象です。マラソン初心者の人もネガティブスプリットで走ると後半でランナーをごぼう抜きできるので、ちょっとした爽快感が味わえて走るのが楽しくなります。走力以上にスピードを上げるのはダメですが。

・練習の目的

後半でも失速しない粘りの走りと気持ちの強さをつける。

・注意点

走っているうちに勝手にスピードが上がるのとは違うので注意。

走る距離を区切り、各ゾーンで走るスピードを設定する。

タイムトライアル

目標の距離と時間を設定して走るトレーニング。

大会に向けて、その時点での自分の走力を確認する。そのため、信号が無くて人通りの少ない場所を選ぶ。河川敷やトラックがやりやすい。月に1回程度実施する。

・練習の目的

大会の目標を達成するためにその時点でのランニングレベルを確認する。

・注意点

目標を達成できないからといってやる気をなくしてはいけない。目標を達成できなかったなら練習方法などを見直す機会になるし、目標を達成できたならより高い目標を設定してみる。

大会でなければ、目標が達成できなかった時にへこむ意味はない。焦らず、やり方を見直せばいいだけですよ。

ファルトレク

速いペースと遅いペースを自由に取り入れて走るトレーニング。

インターバルと違い特にペース設定はしないが、30分以上走るのがよいです。

ただ、自由に走っていいので、気が乗らないなら短い時間でもいいでしょう。

複数人でファルトレクをするなら、ペーサー(ペースを作る人)を一人設定しほかの人が付いていくことで、ペース変化への対応といった練習もできます。

マラソン中継を見ていると、トップ選手でもペースを変えて後ろの選手を振り落とそうという戦略(チェンジオブペース)が取られているのがわかります。

初心者や中級者は、このチェンジオブペースに揺さぶられることなく自分のペースで走るが一番良いですが、大会などで後ろの選手を振り落としたいときは有効な方法です。

・練習の目的

一人なら走る楽しさを味わう。

複数人ならペース変化に対応できる脚をつくる。

・注意点

距離やペースに目標を設定しない。


トレイルラン・坂道走・峠走

アップダウンや不整地を走るトレーニング。

ロードと違い短い時間でも心肺機能を向上させることができます。

・練習の目的

心肺機能と脚力の強化

・注意点

不整地を走るので、フォームが崩れやすくなる。

トレイルランや峠走では、補給や給水できるところが限られてくるので注意が必要。

とくにトレイルランは、山に慣れていない人が走ると木の根や石で転倒しケガをしやすい。濡れた木の根と石はめっちゃ滑りやすい。最悪の場合、遭難のリスクもある。そのため、トレイルランは山に慣れるか、慣れた人と走ること。

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